Ⅵ.
ー立派な髭をたくわえた老人
彼はその場で出逢いたいのだ
伝道師ではなく、本人として
真っ白な世界に巻き込まれ、あの子と踊りたいのだ
懐かしさは未来に渡り、反逆者として話しかけてくるが
彼は待ちきれない
それはちょうど少女のようにはじまる
少女が玄関からメトロポリスに脚を踏み出したちょうどそんな時に
月は決まってふたつあらわれて
誰もみていない視線をそっと彼の墓のそばに横たえる
しかしあの子はなにも知らない
そうちょうど私のように
雨の中の静けさ
炎のなかの轟きでさえ
私たちにとっては蚊帳の外なのだ